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マゾでもいいじゃないか 1km/hくらいでのんびり 恒星塵 紫と愛と飯 ヽ( ・∀・)ノ みおまお&れお成長日記! ふがふがふが~? めろーいえろおおおおおおお 碧、はじめます 人生そんなもんです 綺麗なお姉さんが好きですが? こんにちはブリタニア エキサイト以外のブログ
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最近、ある女性のことをよく思い出す。
俺が若いころ通っていたバイト先の同僚で、 久保さん(仮名)という名前の、同い年の女の子だ。 当時俺は、アンテナを作る小さな工場でバイトしていた。 おもに内職からあがってきた製品を検品する仕事だが、 手先が器用だった俺は、試作品の周波数を合わせたり、 不良品のアンテナを分解して修理することもやっていた。 社員はほとんどいなく、 バイトとパートがそれぞれの作業台に向かって黙々と仕事をする。 一日中、ベルトコンベアーの静かなモーター音の中。退屈で眠くなる仕事だ。 ここには食堂が無い。 作業部屋の隅のほうに3畳くらいのスペースがあり、小さなテーブルがある。 そこでみんなで肩を寄せ合って昼飯を取る。 俺は昼休みにはいつも、競馬雑誌やパソコン雑誌を読んでいた。 あれは3月の終わりごろだった。 いつものように昼休みに競馬雑誌を読んでいた俺は、 今週の日曜に行われる日経賞に、グラスワンダーが出走するのを知った。 去年暮れの中山競馬場で、 武豊のスペシャルウィークを4cm差で下し、有馬記念を連覇した馬だ。 そのグラスワンダーが再び中山競馬場にやってくる。 しかも日経賞は有馬記念と同じ舞台、2500mである。 おお! 俺は思わず口に出して言った。 「うわ。今週グラスワンダー出るじゃん。誰か一緒に行こうぜ。」 もちろん冗談で言っているのは皆分かっているので、 パートのお姉さん達は、「競馬は分からないわw」 と言って笑っていた。 その日の帰り、ロッカールームで帰り支度をしていると、 久保さんが話しかけてきた。 「綾辻君。もし良かったら競馬一緒に行きませんか。」 昼間のことなどすっかり忘れていた俺は、 「え。ほんとに?w」 と思わず笑ってしまった。 「笑うことじゃないです。」 普段は大人しい久保さんがいつになく強い口調で言ったので、俺は怯んだ。 そしてこの時はじめて気づいた。 久保さんが俺に好意を寄せていることに・・・ 「あ・・あぁ、いいよ。行こうぜ。」 こうして、出所の分からないデートの約束が決まってしまった。 当日。 待ち合わせの場所に現れた久保さんを見て、俺は一瞬、誰か分からなかった。 普段バイトで見る彼女からは想像も出来ないほど、お洒落な格好だった。 下なんか、足が半分以上出ている、 ミニスカートのような巻きズボン(俺は詳しくない)である。 「厚底の靴、履いてきちゃった。」 「かっこいいよ。」 ここで「似合うよ」とか「可愛いよ」とか言えば良いものを、 今も昔も、俺は女心が分かってない。 埼玉県から中山競馬場へ行くには、 西武新宿線で新宿まで出て、 東京23区を横断するように総武線に乗る。かなりの長旅だ。 しかし今思い出しても、この移動時間が長かったと感じた記憶が無い。 電車の中で色んな話をした。 バイト先では滅多に自分の話をしない久保さんが、 以前勤めていた会社でいじめられていたこと。 地方から出てきたときのこと。 弟と二人暮ししていること。 色んな話をしてくれた。 「弟さん、家に彼女連れてきたりする?」 「うん。」 「じゃぁ夜とか隣の部屋でモソモソしてて気になるでしょw」 「うんw」 普段バイト先ではパートのお姉さん達が猛烈におしゃべりなので、 久保さんと落ち着いて話をする機会はあまり無かった。 船橋法典駅に着いた。 空は快晴。透き通るような青空が広がっていたが、 まだ3月でもあり、風が吹くと少し寒かった。 駅から中山競馬場への道はすぐ分かる。 競馬新聞を持ったおじさん達について行けば良い。 ぞろぞろと歩く人の半数くらいはおじさん達だったが、中にはカップルの姿もある。 並んで歩く俺と久保さんも、まわりから見たら恋人に見えるのかな。 俺はふと、そう思った。 未完
by m-ayatsuji
| 2006-11-30 18:50
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